生物学者・福岡伸一の現在|動的平衡と知られざる軌跡が拓く新境地
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福岡伸一氏の類いまれな洞察力は、どのようなアカデミックキャリアによって育まれたのでしょうか。その経歴を振り返ると、極めて正統派かつ過酷な分子生物学の最前線を駆け抜けてきた足跡が浮かび上がります。
1959年に東京都で生まれた福岡氏は、幼少期から昆虫採集に没頭するナチュラリスト少年でした。京都大学農学部に進学後、同大学院農学研究科で博士課程を修了。研究者としてのキャリアを本格化させると、海を渡って米国ハーバード大学医学部リサーチフェロー、次いでロックフェラー大学研究員として最先端の分子生物学研究に従事しました。
帰国後は京都工芸繊維大学助教授などを経て、2004年に青山学院大学教授に就任。研究者時代には、狂牛病(BSE)の原因とされるプリオンタンパク質の機能解明や、細胞膜における物質輸送システムに関する専門的な学術論文を国際的なジャーナルへ多数発表しています。遺伝子ノックアウトマウスを用いた実験で、標的遺伝子を欠損させても個体発生に劇的な異常が生じないという「生命の冗長性と柔軟性」を目の当たりにした経験が、のちの『動的平衡』論の強固な礎となりました。